海外駐在が決まったら、日本に残す家のことを考える必要があります。住宅ローンの有無で準備の内容が大きく異なるため、それぞれの場合について詳しく解説します。この記事を読めば、必要な手続きや注意点が全てわかります。
共通の準備(住宅ローンの有無に関わらず必要)
以下の準備は、住宅ローンの有無に関わらず必要です。
- 管理会社の選定(最重要): 長期間不在となるため、家の管理はプロに任せるのが安心です。信頼できる管理会社を選定し、以下の点を確認しましょう。
- 複数の会社から見積もりを取り、サービス内容(定期的な巡回、清掃、庭の手入れ、郵便物の管理、緊急時の対応など)と費用を比較検討。
- 管理内容を明確に伝え、契約書に明記。
- 実績、評判、対応の速さなども確認。
- 管理内容の明確化: 管理会社に依頼する内容(例:郵便物の転送、定期的な換気、清掃、庭の手入れ、緊急時の対応など)をリストアップし、契約書に明記しましょう。
- 生活インフラの維持または停止: 水道、電気、ガス、インターネット回線などを維持するか停止するか検討します。維持する場合は自動引き落としの手続きを確認し、冬季の凍結対策は必須です。停止する場合は、各会社に連絡して手続きを行います。
- 郵便物の転送: 郵便局に転居届を提出し、郵便物を管理会社に転送してもらうように手続きを行います。重要な郵便物は、必要に応じてデジタル化して送ってもらうように依頼することも検討しましょう。
- 保険の見直し: 火災保険・地震保険の内容を見直し、長期不在に対応できる内容になっているか確認します。海外転勤を保険会社に伝え、必要な手続きを確認しましょう。
- 防犯対策の強化: 防犯カメラ、センサーライト、警報システムなどを設置し、防犯対策を強化します。管理会社と連携し、定期的な巡回を依頼することも検討しましょう。
- 家財の整理・保管: 必要最低限の荷物だけを残し、不要なものは処分またはトランクルームなどに保管します。貴重品は、安全な場所に保管するか、日本に置いていくことを検討しましょう。
住宅ローンがない場合の追加の準備
住宅ローンがない場合は、上記に加えて、家の扱い方に応じて以下の準備を行います。
- 賃貸に出す場合:
- 賃貸管理会社の選定(重要):入居者募集、契約、家賃回収、トラブル対応などを代行してくれる管理会社を選びます。
- リロケーションサービスの利用検討:一時帰国時に住む可能性がある場合は、家具付きで貸し出すリロケーションサービスの利用も検討します。
- 家賃設定:周辺の相場を参考に、適切な家賃を設定します。
- 契約条件の明確化:契約期間、家賃、敷金・礼金、原状回復義務などを明確にし、契約書に明記します。
- 税務処理:賃貸収入は所得として確定申告が必要となります。税理士に相談し、適切な税務処理を行いましょう。
- 売却する場合:
- 売却時期の検討:不動産市場の動向を考慮し、適切な売却時期を検討します。
- 不動産会社の選定:複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討します。
- 売却手続きの代行:海外在住の場合は、売却手続きを代行してくれるサービスを利用することも検討しましょう。
- 税務処理:売却益が出た場合は、確定申告が必要となります。税理士に相談し、適切な税務処理を行いましょう。
住宅ローンがある場合の追加の準備(上記1に加えて以下の対応が必須)
住宅ローンがある場合は、上記1の共通の準備に加えて、以下の対応が必須となります。
- 金融機関への相談(最重要): 住宅ローンが残っている状態で海外転勤する場合は、必ず事前に金融機関に相談しましょう。
- 海外転勤の旨を伝える:今後の家の扱い(維持、賃貸、売却)について相談します。
- 賃貸に出す場合の承諾を得る:賃貸を希望する場合は、金融機関の承諾が必須です。必要書類や手続きについて確認します。無断で賃貸に出すと契約違反になる可能性があります。
- 住宅ローン控除の扱いを確認:海外転勤中の扱いについて確認します。家族帯同の場合は、住宅ローン控除は原則として受けられなくなります。後述で詳しく解説します。
- 住宅ローンの支払い方法の確認: 海外の銀行口座から日本の銀行口座へ送金する方法を確認しておきましょう。自動引き落としが基本ですが、海外からの送金方法や手数料などを確認しておきます。
- 賃貸に出す場合の追加の注意点:
- 家賃収入と住宅ローン返済のバランス:家賃収入が住宅ローン返済額を上回るように、家賃を設定する必要があります。管理費用や空室リスクも考慮しましょう。
- 金融機関によっては、連帯保証人を立てることを求められる場合があります。
- 売却する場合の追加の注意点:
- 売却代金で完済できるか確認:売却代金で住宅ローンを完済できるか確認します。
- 売却代金で完済できない場合(オーバーローン):金融機関と相談し、任意売却や買い替えローンなどの方法を検討する必要があります。
住宅ローン控除の扱い(詳細)
海外転勤に伴い、住宅ローン控除の扱いは以下のようになります。
- 単身赴任の場合: 原則として、住宅ローン控除は継続して受けることができます。出国する年に確定申告を行うことで還付を受けることができます。
- 家族帯同の場合: 原則として、住宅ローン控除は受けられなくなります。税務署に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出する必要があります。ただし、帰国後に再び居住する場合は、一定の手続き(「再び居住の用に供したこと等の届出書」の提出など)を行うことで、住宅ローン控除を再開することができます。詳細は税務署に確認することをお勧めします。
まとめ
LA駐在に向けて、日本に残す家の準備は多岐に渡ります。住宅ローンの有無で必要な手続きが異なるため、ご自身の状況に合わせてこの記事を参考に準備を進めてください。特に住宅ローンがある場合は、金融機関との連携が不可欠です。早めに計画を立て、専門家(不動産会社、管理会社、税理士、弁護士など)、そして住宅ローンがある場合は金融機関に相談することで、よりスムーズに準備を進めることができるでしょう。特に海外からの手続きは時間や手間がかかる場合があるので、余裕を持って行動することをお勧めします。
補足:情報収集に役立つウェブサイト例
以下に情報収集に役立つウェブサイトのリンクを記載します。
- 国土交通省:住まいに関する情報:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/
- 住宅政策、建築基準、不動産取引など、住まいに関する幅広い情報が掲載されています。
- 国税庁:税に関する情報:https://www.nta.go.jp/
- 確定申告、住宅ローン控除など、税に関する情報が掲載されています。
- 各自治体のウェブサイト: (例:お住まいの市区町村名 + 「住宅」で検索)
- お住まいの地域の住宅に関する情報(例:空き家対策、住宅に関する助成金など)が掲載されています。
- 全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連):https://www.zentaku.or.jp/
- 不動産取引に関する情報や、不動産会社を探すことができます。
- 住宅産業新聞:https://www.housenews.jp/
- 住宅業界のニュースや動向を知ることができます。
- SUUMO(スーモ):https://suumo.jp/
- 賃貸物件や売買物件の情報、不動産に関する情報などが掲載されています。家賃相場などを調べるのに役立ちます。
- HOME’S(ホームズ):https://www.homes.co.jp/
- SUUMOと同様に、賃貸物件
この情報が、海外駐在を予定されている皆様のお役に立てれば幸いです。
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